英国各地でレバノン攻撃反対集会
各紙の報道から、イスラエル軍によるレバノン攻撃関連のニュースを整理しておく。
イスラエル軍によるレバノン攻撃が激化し、被害が拡大している。戦闘が長期化するなか、民間人犠牲者が増加している。レバノンとのつながりが深い欧州諸国を中心に、事態の早期沈静化を探る外交的な動きが出始めた。26日の関係各国外相らによるローマでの国際会議開催が決まった。だが、米国は実質的にイスラエル軍の攻撃を容認しており、欧州の動きは早期の終結へと結びつくのか―。
欧州の「前庭」にあたる中東での紛争の拡大に、欧州の市民は危機感を強めている――。23日19時過ぎ、毎日新聞がロンドンから、22日、英国各地で行われたイスラエル軍のレバノン攻撃に反対する集会があったことを伝えている。集会はロンドンなど英国内の11カ所であり、ロンドンだけで7000人以上が参加したという。
記事によると、<ブレア首相は国際部隊派遣をいち早く提唱したものの、イスラエルを明確には批判せず、攻撃に「暗黙の支持」を与えてきた。だが与党・労働党から「イスラエルの行動は戦争犯罪」(マーリン前外務閣外相)との批判が上がり、英国国教会のウィリアムス・カンタベリー大主教も「米英は国際世論に耳を傾けよ」と注文>をつけたという。
また、22日付の英インディペンデント紙は「英国独自外交の恥ずべき死」と題した社説で、英国は米国、イスラエルに同調を続ければ国際的に孤立すると指摘、ハウエルズ外務閣外相はBBCに「米国はレバノンで何が起きているか理解してほしい。イスラエル軍は不正確な攻撃でインフラを破壊し子供を犠牲にしている」と語ったという。
記事は次のように指摘する。
――だが、英国は欧州主要国が求める即時停戦には今も同調していない。ブレア首相は、対テロ戦争での英米連携維持と国内世論のはざまで、イラク戦争と同じジレンマに今後も苦しむことになる。
また、同紙はローマから、関係各国外相らによるローマでの国際会議の26日開催が決まるなど、レバノンとのつながりが深い欧州諸国を中心に事態の早期沈静化を探る外交的な動きが本格化し始めたことを伝えた。戦闘停止への糸口を見いだすことができるか欧州外交の力量が注目される、としている。
記事によると、会議参加予定者は▽イタリア、フランス、英国、ドイツ、スペインの欧州勢▽レバノン、エジプト、サウジアラビア、ヨルダンの中東勢▽米国▽ロシア▽国連、欧州連合(EU)、世界銀行――の外相級や代表者で、討議内容は、(1)レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルの停戦実現の方法(2)レバノン市民への人道支援(3)国際部隊派遣を含む地域安定化策――などが予定されているという。
またパリからは、「フランスを中心とする欧州諸国と米国との対応の違いが鮮明になっている。即時停戦を求めるフランス、ドイツ、スペインに対し米国は『一方的停戦は平和につながらない』と主張。イラク戦争時の対立を解消し、協調関係を模索してきた仏独と米国との対立の再来も懸念されている」ことを伝えた。
朝日新聞は、「これまでのレバノン側の死者は359人。イスラエル側は兵士を含め37人」とするロイター電を紹介するとともに、イスラエルの有力紙ハアレツが23日付で、イスラエル政府の複数の高官が「米政府からあと1週間は攻撃を継続できるとのお墨付きを得た」と語ったと報じたことを伝えている。
同記事は、この「1週間」は、24日にイスラエルを訪れるライス米国務長官はその後東南アジアに行き、月末に再訪の予定で、それまでの期間を指していると見られること、長官の再訪問が調停のヤマ場になる可能性があることを指摘している。
またライス長官に先立ち、フランスのドストブラジ外相、ドイツのシュタインマイヤー外相、英国のハウエルズ外務副大臣が23日、イスラエル首脳と会談するため相次いでイスラエル入りしたこと、さらに国連のエグランド事務次長(人道問題担当)が23日、ベイルート入りし「間違いなく人道的危機が広がりつつある」と述べ、危機回避のために1億ドルが緊急に必要と語ったことを報じている。
読売新聞はブリュッセルから、欧州連合(EU)が22日、レバノンからの大量の避難民の中継地点となっているキプロスに、医療支援などにあたる専門家チームの緊急派遣を決めたことを報じている。EUはまた、被害が拡大しているレバノンに対し、1000万ユーロ(約14億7000万円)の緊急人道援助を実施することを決め、近く供与するという。
毎日新聞が21時54分にアップしたエルサレムからの記事によると、イスラエルのペレツ国防相は23日、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの戦闘が続くレバノン南部への多国籍軍の派遣を容認する考えを示した、という。これは、イスラエルを訪問したドイツのシュタインマイヤー外相に、国防相が伝えたもののようだ。
記者は、欧州連合(EU)や国連が提唱する国際部隊の派遣に消極的だったイスラエルが方針転換したことで、停戦に向けた枠組みの協議は国際部隊の派遣を軸に進められる公算が大きくなった、と伝えている。
毎日新聞 英国:高まる反イスラエル 各地でレバノン攻撃反対集会
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20060724k0000m030047000c.html
同 イスラエル:レバノン攻撃 欧州、収拾糸口探る 26日、ローマで関係国会議
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20060723ddm007030104000c.html
同 イスラエル:レバノン攻撃 子供20万人が被害 国連、人道支援呼び掛け
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20060723ddm007030107000c.html
同 レバノン情勢:対応の違い鮮明に 仏などの欧州と米国
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060724k0000m030066000c.html
朝日新聞 レバノンへの空爆続く 仏独外相はイスラエル入り
http://www.asahi.com/international/update/0723/011.html
読売新聞 EU、レバノンに15億円の緊急人道援助へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060722-00000113-yom-int
アルジャジーラ ロケット弾攻撃でハイファ市民10人死亡 ヒズボラがイスラエル猛攻
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2233733/detail?rd
毎日新聞 イスラエル:国防相、レバノン南部への多国籍軍派遣を容認
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20060724k0000m030103000c.html
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